UnBooks:頑張れ

出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
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東日本大震災の被災者に「頑張れ」と言いすぎないで下さい。心の傷は時間と共に軽くなっていきますが、2割くらいが悪化したり心的外傷後ストレス障害になったりします。繰り返し励まされたり過激な報道があったりすると当時を思い出して以下略
頑張れ について、日本うつ病学会

頑張れ(がんば-)は、既に最大限の力を出して、今にも死にそうな位一生懸命になっている相手を一瞬で絶望の淵に追いやることのできる呪文である。

事例[編集]

「はぁ、はぁ、あとたった10kmじゃないか。ここで諦めたら今まで3年間必死で練習してきた意味が無い。絶対ゴールするんだ!」

M高校のA君(匿名希望)は高校1年生の時から陸上部に所属し、長距離のマラソン一本で3年間練習を1日も休まず走り抜けてきた。マラソンを始めた当初は中々結果が出ず、何度も部活を辞めようかと悩んだが、そのたびに顧問のK先生やS高校の親友で好敵手のT君に励まされ思いとどまった。朝晩の走り込み、食事のバランスも自分で考え、学校の授業中もマラソンのことだけを考えた。昔から努力家で、やると決めたことはとことんやる性格だったA君は少しずつ実力をつけ、3年の春には全国大会にも出場するような選手に成長していた。

そして高校生活最後の秋大会。自身の高校生活全てを掛けて臨んだ。地方大会から順調にコマを進め、遂に全国大会へ。「これで勝てば俺の努力は報われるんだ。支えてくれたみんなの為にも絶対に優勝してやる!」

大会当日。朝のランニングで会場近くの公園を走っていると、突然5歳くらいの男の子が飛び出してきた。「わっ」瞬時に体が反応し、男の子にはぶつからなかったもののバランスを崩し軽く足をひねった。「痛っ…」見ると右足が少し赤く腫れていた。「ったく、大会前についてないな」それ程酷いものでも無かったのでA君はあまり気にすることなく控室へ戻った。

「出場選手はスタートラインへお並び下さい」会場アナウンスが響く。コースはD地点からN地点で折り返し、またD地点へ。きっかり42.195kmだ。山を切り開いた所なので坂道が若干きついが、何度か走ったことがあったので不安はなかった。それでも最後の大会と言うことで手足が震え、緊張は誤魔化し切れなかった。「おう、A、大丈夫か?」今まで何度も自分を助けてくれたK先生が声をかけてくれた。「はい、ちょっと緊張してますけど」「そりゃそうだろ。ちょっと緊張してるくらいが丁度いい。なに、心配することはないさ」「ありがとうございます」先生と話したことで幾分か気持ちが楽になった。「じゃ、行ってきます」

空はどんより薄暗かった。まるで何かの予兆のように…。

「パァン」

スタートの合図が鳴った。A君は勢いよくスタートを切った。「よし、いい感じだ」A君はスタートからトップ争いに加わり、そこから離されないようぴったりと張り付いていた。5km、10km、20km…そして折り返しのN地点へ。まだ1位2位を争っている。「いけるぞ」そう確信した次の瞬間「ズキン」朝痛めた右足に激痛が走った。「ウッ」あまりの痛みに顔をしかめる。「何でこんな時に…」今まで優勝争いをしていたライバルたちがみるみる先へ遠ざかるのが見て取れた。「ラスト15km…」痛む足を引きずり、少しでも追いつけるようにと無理矢理体を動かした。目の前にはコース最大の上り坂。ここが優勝を左右すると言われている。「あ゛ー!!」もう体が壊れてもいいと思った。こんな所で3年間を終わらせたくなかった。何メートルも引き離されていたトップ集団に瞬く間に追いつき、気が付けば先頭に。「このまま、このままゴールに…」頭の中は真っ白。足は既に感覚が無かった。息をするのもままならない。「でも、でもここで止まっちゃダメだ」正に火事場の馬鹿力とでも言おうか。A君を突き動かしていたのは「死力」だった。あと10km…5km…。

横を見ると大勢の観客が手や旗を振って自分を応援してくれているのが見えた。「あぁ、こんなに多くの人に支えられているのか」胸から何か熱いものが流れてくるのを感じた。

「いけるぞ」「諦めないで」「ラストスパートだ」みんなが声をかけてくれる。ありがとう、ありがとう。死にそうな状態だったけれども、応援が力になった。

ふと違うところに目をやると、朝の5歳位の男の子が母親らしき人と一緒にいるのが見えた。「あの子のせいで俺はこんなに辛い目に…」怒りに近い感情がこみ上げてきたが、それどころではないと気持ちを切り替えた。と、次の瞬間

「頑張れー!!!」

甲高い声がコースに響いた。あの男の子の声だ。ふっと体の力が抜けるのがわかった。

が・ん・ば・れ?」

頑張れだって?今にも死にそうなのに?俺が頑張って無いとでも言うのか?こっちは高校3年間掛けてやってんだよ。頑張らないはずないだろ?なのに、なのに頑張れなんて…そんな軽く言ってんじゃねぇよ。何なんだよ、頑張れって。訳わかんねぇよ。俺の気持ちも知らずに。クソ!クソ!俺は十分頑張ってんだよぉ゛ーーー!!!

A君はそのまま道路にうずくまり、身体を震わしてただひたすらにこう呟いた。「俺は、俺は頑張ってる…頑張ってる…」

その後A君は二度とコースに戻ることはなく、高校卒業から何年も経った現在でもあのことを思い出す度「頑張ってる…」と繰り返し呟くのである―

関連項目[編集]