UnBooks:自宅警備員に問ふ

出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
移動: 案内検索

自宅警備員に問ふ[編集]

某といふ所に、自宅警備員ありけり。

ある者その者に、「なんぞ働かざる。」と問ひけり。その者、「今、春なり。花粉いと飛べば、我外にてありかず。」と答へけり

「夏は如何に。」と問ひければ、「我、暑きを好まず。」と答へけり。その者、次の答へを聞かむと思ひて、「汝、秋を好まぬか。」と問ひけり。

その者、「我、秋を好む。秋、紅葉の落つる季節なり。家よりそれを眺むるはいとをかし。」と答へけり。

「冬は如何に。」と問ひければ、「冬、いと寒し。草木など寝たり。我も布団にて寝るなり。」と答へけり。

ある者去りける後、自宅警備員は寝けり。

妻や子の為に働ける者よりもをかしきを知る穀潰しかな

自宅警備員働かむと思ふ[編集]

自宅警備員、親が死にければ働かむと思ひて、に出でけり。

その者某といふ店にて、「我、働かむと思ふ。働かるか。」と問ひけり。店の人、「我が店にて働かる者は、顔良き者のみ。」[1]と答へけり。

その者店を出でける後、空腹にて目眩みければ、道の辺にて倒れけり。

日、暮れければ、暗きに混じりて盗人出でけり。盗人、「汝の持ちたる物、我に渡せ。渡さば汝の、助けむ。」とぞ言ひける。その者、「我、働かぬ身にて、何も持たず。働かむと思ひしかども、働かれざりき。殺さるれども、未練なし。」と言ひけり。

そを聞き、盗人、「汝の話を聞きしかば、盗みを働く気、失せき。こに少しきなれども、食ふ物を置かむ。」と言ひ、去りけり。

その者、「我が計画に違ふる所ぞなかりし。」と言ひ、こちらも去りけり。

滑稽かな荒れたる都の盗人は要らぬ情けを持ちつべしなど

自宅警備員いと麗しき女子に出会ふ[編集]

自宅警備員、都を歩きたる時、一人の女子に出会ひけり。

その女子いと麗しければ、その者、妻にせむと思ふ。自宅警備員、女子に、「あな、麗し。汝こそ我がになるべき人なれ。」と言ひけり。女子の言ふやう、「汝が顔、無下なり。汝のごとき者、人多き所にてありかむこと、いと怖し。」と。

その者、「汝も先の店の者と同じか。顔良き者など、汝が思へる程ゐざるべし。」とののしり、去りけり。女子、「男ののしるは、いとあやし。」と言ひ、こちらも去りけり。

こを見えし者、「男ののしるはわろかりけむ。さすがに女子の、男を用ゐて遊ぶ様、いと見にくし。」と思ひ、あまたの者にこを伝へしが故に、草食系男子いと、生まれにけり。

草食系男と女が作りしもの批判せるのは女のみなり

自宅警備員再び家に篭る[編集]

自宅警備員都より帰りける後、再び家に篭りけり。の積もれる[2]屋根の下にて一人寝にける時、ある者自宅警備員の家に訪れけり。

ある者曰はく、「汝、家より出でむか。」と。自宅警備員答へて曰はく、「我外にてありかば、人我より離る。」と。 またある者曰はく、「家の中にて何かやらむか。」と。自宅警備員答へて曰はく、「何事もする能はず。」と。

ある者、「汝、我の親切も受けられぬか。」と言ひ、家より去りけり。

自宅警備員、その者去りける後、再び寝けり。

雪融けて水の溜まれる所に落つ涙は幾度凍りけるかな

自宅警備員帝の御前に伺ふ[編集]

自宅警備員何事も良くならざりければ、の全てを恨みけり。その者家を再び出で、都の盗人の所に行きけり。

自宅警備員曰はく、「汝が盗人になりしは、世の狂へるが故なり。汝、世を恨むか。」と。 盗人答へて曰はく、「我、この世を恨む。」と。 自宅警備員と、かの盗人、あまたの卑しき者とともにの御前に伺ひけり。帝、寛大なりければ、その者共の話を聞かせ給ひけり。

自宅警備員、「帝の民は、苦しめり侍り。帝が民を助けらるるを、民は望めり侍り。」と奏しけり。帝、「朕が民の苦しむ様、朕はえ見えず。」とぞ宣はせ給ひける。

自宅警備員共の帰りける後、帝、「などを持てる者共よりそれを奪ひ、苦しめる民に与へよ。」と命ぜさせ給ひけり。

その後、昔よりの盗人失せけれども、宝などを奪はれける者盗人になり、帝の御命令になりけり。

ありがたき帝の御厚意徒にかの如き世など消えましものを

自宅警備員が問ふ[編集]

自宅警備員数多の人と出会ひ、その都度引きこもりを脱せむと思ひしかど、家へと再び帰りける度に、再び引きこもりになりけり。また、何事も良くならぬは、この世の狂へるが故と思ひしこともありけれど、悪きは己であると気付きけり。

子孫の一人と思はる。

かくの如き者がこの世に問ひける言葉が、「我働きたるは、猶ほ負くが如し。[3]とぞ言ひ伝へらるる。

その者の子孫[4]は今日もいづこにて、家を守れるべし。

乱世の犠牲になりける穀潰し働かば負けと伝へむとしけり

文章の下にての注[編集]

  1. ^ 今も昔も、顔良き者は恵まるるのが世の定めなり。
  2. ^ 季節は、知らぬ間に巡りけり。
  3. ^ 数多もの時代を越へ、今となりては少しき意味が変わりにけり。
  4. ^ その者が子を持ちけるかは分からねども、その者の如き行ひをしつる者多ければ、今の世に子孫のゐるべし。

関連せる項目[編集]