UnBooks:耳なし芳一のはなし

出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
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出典:ちくわ書房『アンサイ文学全集Ⅱ 耽美の世界』

時は今をさかのぼること幾百年、所は赤間が関の阿弥陀寺。一人の若い琵琶法師が、蝋燭の灯りの下に衣紋をゆるめ、その白い肌をさらしていた。盲目の彼はいま歯を食いしばり、その顔を時折しかめ、身もだえした。というのは、彼の鎖骨に沿って細い筆の穂先が這っていたからである。筆を持つ和尚の顔は真剣そのものであり、あと少しで若き弟子の薄い胸板を経文で埋め尽くそうとしていた。

「これ、芳一、動くでない。字がゆがむじゃろうが」
「ですが和尚様、これではあまりに……」
「うむ。確かにこうしているのは苦痛じゃろう。しかしな、平家死霊のたたりからお前の身を守るためにせねばならんことなのじゃ、こらえてくれ」
しっとりうっとり毛筆プレイ。ウィキペディアより。
そういって和尚が芳一の着物の前を大きく開くと、青年の顔がかすかに赤らんだ。和尚は着物を片袖ずつゆっくりと脱がし、それから彼に優しく命じて後ろを向かせた。のようにきめの細かい、練衣のような背中が露わになった。和尚は筆の先にほんの少し墨を含ませると、その背骨のあたりから書き始めた。
ああっ!?
「今度は何じゃ、芳一」
「和尚様、どうか、背筋に沿って書くのはご勘弁を!わたくし目が見えないものですから、他のところがその分敏感になっておりまして……」
「そんなことを言っとる場合か!今晩まさに鎧武者の怨霊がお前をとり殺しに来るというのに」

日が暮れようとしていた。和尚は有無を言わさず芳一の体のあらゆるところに、足の裏から褌の中に至るまで、徹底的に般若心経を書きこんだ。亡霊の来る時間が迫ってきており、和尚は気が気でなかった。筆先がその肌に触れるたびに身をよじって悶え、激しく抵抗する芳一を、老骨に鞭うって必死に組みしき、筆を走らせ続けた。両耳を除きすべての部位に経文を書き終えたころには、二人の僧は体中に玉のような汗を浮かべ、顔は紅潮し、息を荒くはずませていた。さあ、最後の仕上げにかからんと、和尚は筆を持って芳一の顔の近くへにじり寄った。その目は大きく見開かれ、充血していた。芳一はか細い手で和尚を突きとばし、あらん限りの声を振り絞って叫んだ。

「ああ、和尚様、耳だけは、耳だけはおやめ下さい、そこに触れられると、私は…ああ私は!
「おまえ、芳一、やめんか。そんな大きな声を出して、納所坊主にでも聞かれたら面倒なことになるじゃろうが」
「いやです、和尚様、いやです」
よいではないか、よいではないか」和尚は無我夢中だった。
「ああ、そんな、和尚様、ご無体な!ああああああああ……

突然、乱暴に障子が引き開けられ、芳一の目に甲冑をつけた平家の武者の巨大な姿が飛び込んできた。

「芳一!芳一!貴様、殿様にその琵琶の音を献上する約束を忘れたか!わざわざ迎えに来てやったのに、このありさまは何だ!嘆かわしい、とんだ色き×がいではないか!」

怨霊はそう叫ぶと、怒りを込めて、のようなものすごい力で、経文の書かれていない芳一の両耳を引きちぎった。


「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!」

芳一の悲鳴は寺じゅうに響き渡った。

芳一は一命は取り留めたものの、耳をもがれた際に、生涯最初で最後のすさまじく激しいオーガズムを味わい、それが4時間近く続いたため、琵琶を弾くほかは何一つ自分ではできない廃人になってしまったという。


小泉八雲 「ママさん、これ、ほんとうですか」
その 「いいから早くお書きなさいな。御夕飯の支度に差し支えます」
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ユーモア欠落症患者のために、ウィキペディア専門家気取りたちが「耳なし芳一」の項目を執筆しています。


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