UnBooks:多様性のある職場の作り方

出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
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以下の話はとある会社で見られた、創造的な職場の作り方の実例である。

職場にいる人間がみな画一的でつまらないという経営者の方は、これを見て大いに参考にして頂きたい。

ある会社の話[編集]

ある広告代理店がありました。毎年の売上は業界の中でも高い方で、十分な自己資金もありました。しかも世の中は好景気で、しばらくは倒産する恐れもありません。そこで、その広告代理店の社長はたまった自己資金を使って自社のオフィスを変わったものにリフォームしようと考えました。

「我が社は広告代理店だ。様々な広告をデザインし、多様なメディアを使って革新的な広告を行なっている。つまり、我が社に求められているのは革新性なんだ」

社長は社員に向かってこう言いました。それを聞いたある植物好きの社員は

「では社長、オフィスを植物で埋め尽くしましょう。職場に緑があれば社員はみな喜びますよ。特にハーブなんかは、その匂いに脳の働きを活性化させる効果があるそうです」

と言いました。社長は

「ほう、それはいいアイデアだな。さっそくそうしてみよう」

と言い、呼んだリフォーム業者にオフィスの改修案を出させるとその予算を取締役会に通しました。リフォーム工事は順調に進んで、オフィスの壁はハーブで埋め尽くされました。

「やった!オフィスが緑色になったぞ」

植物好きの社員は喜びましたが、そうでない人もいました。稼ぎ柱のデザイナーです。

「ぼくはハーブの匂いが嫌いなんだ…。それなのに会社の壁がハーブになるなんて。もうこの会社じゃ働けないな…」

彼はそう言うと会社を去っていきました。




そして時間が過ぎ、次の決算期の取締役会では稼ぎ柱のデザイナーがいなくなったことによる売上減が問題になりました。

「社長、売上が落ちています」

「うーん、彼が辞めてしまったからなあ。まあでも自己資金はまだ沢山あるし、他の社員に頑張ってもらうしかないな。残った社員に創造性を発揮してもらう為に、オフィスをさらに革新的にしよう」

そう言うと社長はまたオフィスを改修することにしました。

「社長、犬の持ち込みをOKにしましょう。犬がいれば脳にもいい働きがありますよ」

とある犬好きの社員が言いました。

「そうか、では犬の持ち込みを許可しよう」

そう社長は言うと、次の日から犬の持ち込みが許可されました。沢山の犬が行き交う職場になって犬好きの社員は喜びましたが、喜ばなかった人もいました。

「私、動物の匂いが駄目で…そもそもアレルギー体質なのに」

彼女はハーブが嫌で辞めてしまった彼が会社を去ってから一番稼いでいるデザイナーでした。結局、彼女はアレルギーを理由にその会社を辞めてしまいました。




その次の決算期の取締役会では、さらなる売上の減少が問題になりました。

「社長、彼女も辞めてしまってから売上がガタ落ちです」

「大丈夫だ、まだなんとかなるさ。残った社員に頑張ってもらうためにもオフィスを改修しよう。次は何がいい?」

「バスケットコートが欲しいです、社長」

そう言ったのはバスケ好きの社員です。

「おお、いいな。ちょうどオフィスに吹き抜けの部分があるから、そこを改修してバスケのコートにしよう」

社長はそう言うと、業者を呼んで吹き抜けをバスケットコートにしてしまいました。

「やった!これでバスケが出来る!」

提案したバスケ好きの社員は喜びましたが、喜ばない社員もたくさんいました。

「バスケの音が吹き抜けからオフィスに響いてうるさい。静かな環境で仕事したいのに」

彼らは社長に陳情しましたが受け入れられなかったので、一斉に辞めてしまいました。




「社長、大幅な売上減です。もう三期連続ですよ」

「大量の離職者が出たからなあ。だが大丈夫だ、その代わりになる社員も雇った」

さらに次の決算期の取締役会では売上の減少が話題になりました。

「ですが社長、従業員数は変わらないまま売上は落ちてるんですよ。この職場はそんなに働きやすいんでしょうかね?」

既にオフィスはハーブの匂いが漂う中を多数の犬が行きかい、バスケの音が吹き抜けから響き渡るという異様な光景になっていました。新入社員はみな「動物の匂いに耐えられる」「ハーブの匂いを我慢できる」「うるさい場所でも仕事ができる」者しか採用できなくなっていました。

「多様性だよ。職場の多様性は重要だ。さあ、売上を伸ばすためにオフィスを改修しようか。今度は何がいい?」

「プールがいいです!」

それを聞いた社長はプールを作りましたが、思ったより改修費用がかさんでしまいました。さらに、水の浄化・循環装置には高額な維持費がかかった上、景気が悪化して会社は倒産の危機に晒されることになりました。

そこで社長は社員を集めて、打開策を広く公募しました。

「自己資金はもうない。我が社は倒産の危機に直面している。ここで、多様性のある君たちには何か創造的な打開策を考えてもらいたい」

社長はそう言いましたが、社員から創造的な意見は一つも出ませんでした。「動物の匂いに耐えられ」て「ハーブの匂いを我慢でき」、「うるさい場所でも仕事ができる」者しかいない職場に多様性はなかったのです。

結局、何もできないまま会社は倒産してしまいました。