UnBooks:国を平和にした王様の話

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国を平和にした王様の話[編集]

昔々、あるところに一人の王様がいました。

王様はとても真面目で、悪いことを絶対に許さない人でした。

しかし、王様のいる国はけして平和ではありませんでした。なぜなら、悪いことをする人がたくさんいたからです。王様はこのことにとても心を痛めていました。


あるとき、王様は一つの決心をしました。

「この国を、悪い人のいない平和な国にするぞ」

これはとても大きな決断でした。どうしてかと言うと、悪い人たちはとてもたくさんいたからです。でも王様は諦めませんでした。


まず王様は、役人たちの不正を根絶することから始めました。なぜなら、役人たちが悪い人たちばかりでは、国民たちに悪いことをやめさせることができないと考えたからです。


王様はまず、税金を着服していた一人の大臣を呼びつけました。

「なぜあんなことをしたのか」

「あれは着服ではありません。私はお城をたくさん持っているのです。あのお城は全て私が確かに使っています」

「そんな言い訳は聞いていられない。即刻、この大臣を死刑にしなさい」

大臣はあわてて、私の城では水を飲めるようにするのに大変な費用がかかるのですと言い訳をしましたが、結局、兵士たちに連れられてゆき、処刑されてしまいました。


王様は次に、王様の命令を無視して勝手なことばかりしている将軍を呼びつけました。

「なぜあんなことをしたのか」

「私は間違っていません」

「死刑にしなさい」

将軍は必死で、言論の自由はどこに行ったのだと主張しましたが、処刑されてしまいました。ちなみに王様は、北やシナの王様と繋がってもいたそうです。


王様はさらに、いい加減な会計をしていた施救院の院長を呼びました。

「部下たちの成績をごまかすためにやってしまいました。来年三月までには全て整理します」

院長も処刑されてしまいました。


こうして王様は次々と、悪いことをした役人たちを処刑してゆきました。役人たちは大変に震え上がり、それまでやっていた悪いことを全てやめ、真面目に働くようになりました。しかし王様は容赦しませんでした。一度でも悪いことをした人を次々と引き出し、処刑して行ったのです。

この王様の仕事ぶりに、国民たちの多くは喜びました。そして、悪い役人たちをこれだけ処刑したのだから、残っているのは良い役人だけだろうと思うようになりました。


次に王様は、罪を犯した国民たちにも厳しい処罰を下しました。まず重罪人たちを次々と死刑にしてゆき、国民たちはさらに喜びました。それでも王様は手を緩めることなく、悪い人たちを次々と処刑しました。一度でも悪いことをした人を、王様はけして許しませんでした。

国からは悪い人たちがどんどん少なくなって行きました。まだ王様に捕まっていない、悪いことをした人たちの中には、王様を逆恨みして暗殺を企てる者まで出てきましたが、王様はすぐにそのような人たちを捕まえて、反逆の罪で処刑しました。それ以外の、悪いことをした人たちはこれを見て国から逃げ出す者も出てきましたが、王様はわざわざ追いかけませんでした。悪い人がいなくなることには変わりなかったからです。

こうして、国はどんどん平和になって行きました。


それから何年か経ちました。

国はすっかり平和になりました。

税金を着服する大臣はもう一人もいませんでした。

王様の言うことに盾突く将軍も、もう一人もいませんでした。

いい加減な会計をする院長だって、もちろん、一人もいませんでした。

人殺しも、盗人も、酔っぱらってそこらでくだを巻く人も、通りで煙草を吸う人も、もう一人もいませんでした。

「国は平和になった。私は大変に満足している。これで良いのだ」

王様は王宮のテラスの上から、すっかり静かになった町を見下ろしながら、とてもうれしそうにそう言いました。

その言葉を聞くことができる国民は、もう誰一人としていませんでした。

王様はとてもうれしそうでした。だって、もう悪いことをする人は一人もいなくなったのですから。


~ 完 ~