UnBooks:世界のネズミとネコ

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今から80年ほど昔。

ゆっくりと人間達が戦争に向けて準備を始めた頃の事です。

いろんな国の民家にはネズミ達が楽しく住んでおりました。

ネズミ達は毎日毎日仲間で愉快に騒いで、

お腹が空いたら人間達の食べ物をしまってある棚に忍び込んでは

満腹になるまでご飯をほうばる日々が続きました。

どのネズミもそんな楽しい日々は永遠に続くと思っていました。


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しかし人間も馬鹿ではありません。

例え戦争ほど愚かな事をしでかす人間でも

人間以外に食べ物を盗まれて平然とするほど馬鹿ではないのです。

人間達はネコを飼う事にしました。


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「フニ゛ャァァァァァ!」

ネコはネズミ達を見つけると天まで届くような恐ろしいうなり声をあげて駆け出し、

そしてその鋭い爪で逃げ遅れたネズミを捕まえて、爪や恐ろしい牙で散々にいたぶった後に殺してしまいました。

運良く逃げ出せたネズミ達は「なんて怖い生き物だろう」と震え上がりました。

そして「早くどこかに行って欲しい」と心から願いました。

しかしネコはいつまでたっても居なくなりません。

それどころか、暇になったらネズミを追い掛け回すという日々が続きました。


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「ネコ居ない?」「ネコあっち行った?」

「うん、ネコならあっち行…うわぁー、見つかったでチュゥァァァァァァ!」

「逃げろー!」「逃げるでチュー!」

毎日毎日、ネコはネズミたちの穴倉のすぐ近くまでやってきてネズミを追っかけまわします。

この世にネズミの楽園は消えてなくなってしまったのです。

とうとう、耐えられなくなったネズミたちはネコをどうするか、

夜中に集まって会議を開く事になりました。


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「えー、みなさん。本日はお集まりいただき、ありがとうございます。

今日の議題は皆さんも知っているとおり、あの残虐非道なネコについてです。

我々の仲間も何匹もあの残虐非道な獣につかまり、そして苦しみながら死んでいったのです。

かくいう私の十一こ上の兄さんも五番目の父も、獣の牙に倒れました。

そして私の八番目の妻と幼い十二男と二十八女もあの獣に殺されました。

あの獣をどうにかせねば、我々は絶滅してしまいます。

どうかあの獣をなんとかするアイデアを出せるようがんばりましょう」

しかしどれだけ話し合ってもネコをやっつけるアイデアは出てきませんでした。

どれだけ時間がたったのでしょうか?

ある一匹のネズミがこんな事を言い出したのです。


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「そんなの簡単じゃないか。ネコを叩きのめす必要なんか無いんだ。

ネコの首に鈴さえつければ、ネコが近づく前に鈴の音で気がついて逃げ出せるよ」

みな、そのアイデアに頭をうたれたような衝撃を受けました。

ネズミたちではネコは殺せませんが、ネコに殺されないようにする工夫は出来るのです。

一通り、小動物たちが喝采を浴びせた後に一匹の小さなネズミがこんなことを言い出しました。

でも誰がネコの首に鈴をつけるの?


本編[編集]

大日本帝国のネズミの場合[編集]

鼠国の存亡、この一戦に有り

「このままでは神聖にして犯すべからざる大ネズミ帝国は鬼畜猫獣に蹂躙されてしまう!

そこで、貴様らは決死の覚悟で鈴を持ち、ネコに取り付いて鈴をつけてくるのだ!

貴様らは死ぬかもしれんが、もはやこの手しかないのだ!

その身をもってお国のために奉公してこい!

俺も後から行く、靖国で会おう!」

こうして若いネズミ達が大量に鈴を持ってネコの首めがけて突っ込みました。

ネコは決死の覚悟で突っ込んでくるネズミに恐れおののきましたが、

やはり最終的にはネズミ特攻隊は全滅しました。

もっとも、ネコをどうにかしても数年後にはネズミ達の住処も焼け野原になるのですが……


イタリア王国のネズミの場合[編集]

ネコのおかげでパスタも茹でられないし、ナンパにも精が出ないよ

「というわけでネコの首に誰が鈴をつけるかだが……おい、お前!何をやっている?!」

パスタを茹でてるんですよ。一日一回はパスタを食べないと力が出ないんです。

ほら、体力つけないとネコに鈴をつけるとか、そういった事も出来ないでしょ?」

「バカモン! ネコは匂いにも敏感なんだぞ! そんな事したらネコに気づかれてしまうだろうが!」

「大丈夫ですって。ネコもは眠いから襲ってはきませんよ」

オ゛アァァァァァ!フニャァァァァァ!

「ネ、ネコが来たぞー!」「逃げろー!」「こらー、待てー!」「彼女、今晩繁殖しない?」

こうして鈴の話はグダグダに終わりました。


ドイツ第三帝国のネズミの場合[編集]

いっその事、東方ネズミ生存圏を広げようか?

「我々優秀なアーリアネズミがその気になればネコなどたやすい!

ユダヤネズミは死ね! 氏ねじゃなくて死ね!」

無能な伍長上がりの総統ネズミは置いておくとして、この国のネズミは無駄に凝り性でした。

鈴を作る職人ネズミも凝り性であるのならば、鈴を付けに行く兵隊ネズミも凝り性でした。

多数のわけがわからないほど複雑な部品で出来た、

ネズミが持っても鳴らないけどネコにつけると鳴る魔法のような鈴をつくり

これまた超人的なネズミがネコの首に鈴を付けにいったのです。

「行くぞチューデルマン! 休んでいる暇なんか無い、すぐに出撃だ!」

自らを価値無しと思っているネズミこそが,真に価値無きネズミなのだ

こうして見事にネコの首に鈴がつけられたのです。


しかしネズミ達の天下は長くは続きませんでした。

人間達はネズミに鈴をつけられたネコ以上の数の莫大なネコを投入したのです。

いかに精巧なネズミの鈴と猫民最大の敵が居ても物量にはかなわないのです。


フランス共和国のネズミの場合[編集]

グダグダ

「諸君、こんな事もあろうかとネコの通りそうな通路や壁の穴には全て強固なバリケードを張り巡らせてある。

いかにネコといえどもこの要塞に篭っていれば突破は出来まい。

さて、ワシは愛人と繁殖の約束があるのでこれで……」

「申し上げます! ネコがなだれ込んできました!」

「何!? ネコなど入る隙も無いバリケードを突破してか?」

「いえ、ネコは屋根から回り込んできたんです! ご指示をお願いします。

将軍ネズミさま、ご指示を!」

しかし将軍ネズミは梅毒が脳に回ってまともな判断がもう出来ませんでした。

あれよあれよという間に屋根裏はネコに占領され、

ネズミたちはお隣の家のネズミのところへ亡命するしかありませんでした。


ソビエト社会主義共和国連邦のネズミの場合[編集]

一匹のネズミの死は悲劇であるが、数百万のネズミの死は統計上の数字に過ぎない

ネコはネズミたちの首脳部が集まる付近まで攻め込んできました。

しかし素敵なお髭をはやしたグルジア出身の書記長ネズミは言いました。

「諸君、無敗のネコが存在しないのは歴史が証明している」

こうして寒さに弱いネコ対策に冬将軍を待っての大反撃のために

無数のネズミが鈴を持っての突撃に借り出されました。


「ひい、ネコは怖いでチュー! もうイヤでチュー!」

「退却は認めん! 死ね!」

逃げ出したネズミは政治将校ネズミに殺されました。

ネコに突撃するネズミたちの後ろには冷酷な政治将校ネズミと前歯を光らせた督戦隊ネズミが居るのでした。


あるネズミは政治将校ネズミにいいました。

「政治将校のだんな、イワノチュッチとオイラの二匹で鈴がひとつしか無いんですが?」

「同志、何か不満かね?」

「いえ、そういうわけではないのですが……」

「ではこうしよう」

そういうなり政治将校ネズミはイワノチュッチを殺しました。

「これで鈴は一人にひとつだ、さあ突撃したまえ」



結局、イワノチュッチ達の居たネズミ部隊はネコの前に全滅したのです。

政治将校は書記長ネズミに言いました。

「ネコは強大です。私は出来る限りの事をしました」

書記長ネズミはいいました。

「君は最期まで踏みとどまって戦うという義務を忘れている」

政治将校ネズミは殺されました。


ネズミ達がネコに1匹殺される間に、ネズミ共産党によって10匹殺されていきました。


その後[編集]

ネズミたちは各地で散々な目に遭いました。

しかしネズミたちは絶滅する事はありませんでした。

これらの国々でネズミが絶滅したなどという話は聞いた事がありません。

それどころか、夜の有楽町神田に現れる様な巨大なネズミが繁殖しています。

それはネズミ達の繁殖力の強さのせいだったかのかもしれません。

しばらくするとこれらの国で戦争が始まり、人間達が戦争にかまけて

ネコのブラッシングを怠ったためにネコは逃げてしまいました。

再びネズミの楽園が再建されていったのです。