禿

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禿(はげ)とは、頭髪の欠乏である。

概要[編集]

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ユーモア欠落症患者のために、ウィキペディア専門家気取りたちが「ハゲ」の項目を執筆しています。
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ユーモア欠落症患者のために、ウィキペディア専門家気取りたちが「脱毛症」の項目を執筆しています。

「語りえない禿については沈黙せねばならない」 - この鉄則は、かの天才哲学者ウィトゲンシュタインの主著たる「論理哲学論考」の結論に由来するとされている。しかし、禿に禿という事実を伝えることが犯罪であることは、ウィトゲンシュタインを待つまでもなく知れ渡っていたことである。

禿の前では禿という単語を発声することさえタブーだとすることは、禿の発生と同時に生じた世界共通の伝統であり、不文律であった。禿は語りえないほどの恐るべき苦悶であり、いつまでも未知に留まるであろう「」への前触れとなるものである。禿はいつまで人類の頭を犯し続ければ気が済むのだろうか。

不毛な歴史[編集]

禿は人類の問題であった。それは恐るべき難題であった。全ての挑戦者を不毛なる者としてあっさりと退けてきた。歴史は繰り返す。これからも人類最大の未解決問題の一つとして、悪魔のように猛威を振るい続けることには変わらないだろう。

禿になることに恐れを懐く禿予備軍と禿たちが、いくら涙を流して祈っても不毛の努力というものなのだ。疾風怒濤の時代にも、大地が揺れ動き裂けた時にも、地球が回っていることに気づいたときにも、禿は揺らぐことはなかったのだから。禿は、古今東西の禿たちの真剣な死に物狂いの努力を拒み続けてきた大いなる壁、高山であり続けるに違いない。「禿山にいかに必死に登ってみても、登るほど薄くなっていくのは必然なのだと観念すべき時なのかもしれない」 - あらゆる禿によって、繰り返し繰り返しこのように自分に言い聞かせるように考えられてきたのも無理はないのだろう。

禿の中には天才として崇められてきた偉人もいたし、いつの世にも禿の天才がいるものだ。禿の文脈でハゲた天才の名前を挙げることはタブーなので、名前は伏せねばならない。だが、凡人には信じられないくらいあっさりと華麗に難かしいことを成しえてしまう彼らにしても、こと禿に関してはどうすることもできない。時の経過と共に為す術もなく、順調かつ地道にそして確かな足取りでハゲていったということは、実に明々白々なことであり、周囲の人々に取っては光り輝く事実であった。

それは人間の知性に大きな疑問符が張り付けられたということを意味しており、頭髪の消滅は人間の知性では防ぐことができない定めだということを意味している。

「一体、禿を解決できない人間が、何かを解決し偉大な事を成し得たとして、それがなんになろうか? 禿を直せない程度の低い生き物の哀れな気晴らしにすぎないのではなかろうか? それとも禿はいかに偉大な人間でも、どうすることもできない自然の定めなのだろうか。 どちらにしろ人は運命に弄ばれる無力な塵芥なのではないか?」 - このような疑問と絶望を、禿は人類に突きつけてきた。

禿は人間の誇る知性が無力であることの証左として、人類の目の前で憎憎しいまでにテカり続けてきた。人類は禿の前に敗れ去り、自尊心を著しく傷つけられ、そしてやけ酒の海に深く打ち沈んできた。

禿は不幸の源泉であるため直視することはタブーとされた。タブーにすること自体が不毛であるにもかかわらずだ。それもこれも、禿が人類の1%の才能と99%の努力をあざ笑うかのようにテカり続けてきたためである。「お前の頭脳は不毛だ、お前の努力も不毛だ、お前の頭のようにな」といわんばかりに。

禿の内面[編集]

このハゲー.jpg

禿ほど人の自尊心を傷つけるものはない。禿ほど己の非力さを痛感させるものはない。禿ほど人を行為に駆り立て、なおかつ人生の虚しさを教えるものはない。禿は人を虚無主義へと誘導していく。ここで禿の心の動きを記述するためにまず禿さんに回想してもらう形をとることにしたい。その次に禿さんの詩を読んでいただくことにする。

禿さんの回想[編集]

……私がハゲているのに気づいたのは、高三の夏でした。受験勉強に励んでいた頃のことです。忘れもしません。いや、あれは忘れられない瞬間なんです。私だってできる事なら忘れたいです。いつだって忘れようとしてはいるんです。

……でもたとえ忘れてしまえても、また思い出してしまう。だってたとえ忘れても私がハゲているという事実は消えないんですから。あれは今でも現実なんですよ、過去じゃなくて。過去なのに今もここにある現実なんです。「もしかしたら、髪が無いという事実を見まいとすることが、髪を余計なくしてしまうことになるのかもしれない」と、何度も悩みました。ともかく鏡を前にして「髪がない」ということが現実であるということに気づかされたときの衝撃は、なんといいますか、アリエナイ!というやつです。

私はアリエナイ筈のことが現に起こるとは、想像もしていませんでした。大体、高三で禿のヤツなんていないでしょう? どこにもいないじゃないですか!

どこにもないはずのものが目の前にあることに、目の前の自分があるはずのないもの、あってはならないものになってしまったということを目の当たりにして……僕は、いや私は、なにがなんだかわからなくなってしまって、しばらく思考を停止していました。そして気がつくと、嘘だ嘘だとつぶやきながら自室と大きな鏡のある洗面所の間を足早に何度も往復していました。鏡の前に立って、目をこらしつつ鏡と頭の距離を広げたり縮めたり、頭皮の毛穴の数まで数えたりもしました。冷静になるよう自分に言い聞かせ、漫画に良くあるようにほっぺたを叩いてみたりつねってみたりもしました。思い切り天井目がけてジャンプして着地したかとおもいきや、踵を返してベッドに飛び込み、枕をボコボコにしたりもしましたね。……もういいでしょう。とにかくパニックになったということです。

今考えてみても私の人生の中で最大の挫折はハゲたことをおいて他に挙げられないですね。高三でハゲてしまうアリエナイ現実に直面したんです。ハゲ始めた自分に対して拒絶反応を示していました。それを乗り越えるためには、せめて社会的に成功しなければならなかった。だから、私は東京大学を選び、そして東大を卒業して、エリートコースを歩んできました。

……しかし、それも虚しいことでしかありません。正直いいまして、何度死のうと思ったか知れません。自分への殺意と戦うために、私は成功を追い続けてきたのです。社会的成功はおかげさまで比較的容易に達成できました。容易というのは、禿を治療する試みに比べればということでしかありませんが。依然として私はハゲている自分というものを受け入れることができていません。かつらによって表面上は普通の人間のように見えますが、かつらが外れたときの事を考えると、ハゲているのに初めて気づいたときのように強烈なパニックに襲われてしまうのです。

……もうやめにしませんか。こんな話。不毛ですよ……。

禿さんの詩[編集]

「絶望」
夢破れて 辛苦あり
治療不能にして 混迷深し
憐れを感じては 抜け毛にも涙を濺ぎ
別れを恨んでは 洗髪にも心を震えさす
脱毛 高三に始まり
毛根 万金に抵る
地肌掻けば更に抜け
全て心に耐えざらんと欲す
「禿」
まばらなるものそれは禿。
するどき視線を受ける禿。
凍れる視線がつらいとて、
その禿頭」(とくとう光る朝の時に、
ヅラかぶり、
ヅラをかぶる。
いまはや懺悔を担う肩の上より、
かくれる地の肌は蒸れたり、
するどく痒きものそれは禿。
「禿あればこそ」
地毛、それは淡く
禿、それは秘密
ヅラ、それは高価」(たかく
禿、それは毛がなく
禿、禿、禿
ああ 禿あればこそ 生きる苦しみ
ああ 禿あればこそ 世間に秘密
禿ゆえに夢は儚し

禿、それは悲しく
抜毛、それは切なく
ヅラ、それは苦しく
禿、それは毛がなく
禿、禿、禿
ああ 禿あればこそ 生きる苦しみ
ああ 禿あればこそ 世間に秘密
禿ゆえに夢は儚し
「禿がばれた日」
光る頭にヅラが映え、
ヅラだけが映え、
下には禿の肌が蒸れ、
肌がしだいに汗ばみ、
頭の先より痒みがつたい、
かすかにふるえる俺は禿。
かすかにふるえ。

高価」(たか」(かつらにカネが消え、
視線に恐々隠す禿。
まつしぐらに鬘落ち、
凍れる空気、図らずも、
白日の」(もとにばれる禿、
禿、禿、禿は禿。

関連項目[編集]