東北地方太平洋沖地震

出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
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R.I.P


心象

松の木に風が吹き、
踏む砂利の音は寂しかつた。
暖い風が私の額を洗ひ
思ひははるかに、なつかしかつた。

腰をおろすと、
浪の音がひときは聞えた。
星はなく
空は暗い綿だつた。

とほりかかつた小舟の中で
船頭がその女房に向つて何かを云つた。
――その言葉は、聞きとれなかつた。

浪の音がひときはきこえた。


亡びたる過去のすべてに
涙湧く。
城の塀乾きたり
風の吹く

草靡(なび)く
丘を越え、野を渉(わた)り
憩ひなき
白き天使のみえ来ずや

あはれわれ死なんと欲す、
あはれわれ生きむと欲す
あはれわれ、亡びたる過去のすべてに

涙湧く。
み空の方より、
風の吹く

~中原中也、『山羊の歌』より。