東北地方太平洋沖地震

出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
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R.I.P

とつぜん 天地が揺らぎ ...
縦にそして横に 円をえがくように
地鳴りは おそろしげにひびき
地震と気づくいとまもなく
あるものは 天の柱にとらえられ
あるものは 地の渦に投げこまれ
四方に降りそそぐ 破滅の矢を
誰が逃れることができようか
あるものは、 いとしい者のうえに
おおいかぶさり 呼吸(いき)をともにし
熱い血潮に明日をもとめ
またあるものは その瞬間を氷でとざし
天をこがす非情の炎を避け
人の情けを待つ
人のなさけだけが 氷をとかし
もとのすがたをあらわすだろう
それをひたすら待とう
瞬きするあいだに
変わってしまう景色ではないか
よみがえりの日まで待とう
こよなくやさしい心から
にじみ出たすずしいしらべ
あの日 あなたと語り合ったのは
あの瞬間の前だったのか後だったのか
少年 少女の思い出は
誰よりも心ときめく
それは二度とかえらぬからこそ
いちまでも光りかがやく
笑いさざめく声にまじる
兄の姉の、 そして弟の妹の声
父母の声 いとしい者たちの声
誰がその声を忘れるころができようか
いまも私たちの世界は
あなた方の世界の声をうけて
しずかによみがえりのしらべを
そこにこめられた希望を
魂をゆさぶるように胸をはり
ゆっくりと それから力強く
劫火を越えて
荒波を越えて
~陳舜臣「鎮魂詩 劫火を越えて」