〈古典部〉シリーズ
『〈古典部〉シリーズ』(こてんぶシリーズ)とは、米澤穂信の、推理小説もしくはライトノベルもしくはその両方である。角川書店より2001年10月から刊行されている。
目次
あらすじ[編集]
平成12年、文化系部活動が活発な神山高校に進学した何事にも積極的に関わろうとしない「省エネ主義」を信条とする少年、折木奉太郎は、「古典部」という古典文学の研究を行う訳でもない廃部寸前の部活に入部してぼっちライフを送ろうとしていた。しかし、好奇心旺盛な少女、千反田えると出会って「探偵ごっこ」をしていたところ、腐れ縁の福部里志や伊原摩耶花も入部して、15年にも及ぶリア充な高校生活を強制的に送る事になったのだった。
登場人物[編集]
こちらにならって登場人物の学年などは、特記ない限り奉太郎達が1年生の時点のものとする。
古典部[編集]
- 折木 奉太郎(おれき ほうたろう)
- 主人公。「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」をモットーとする省エネ主義者。主人公なのに決め言葉をヒロインに譲ったのは、省エネ主義の象徴。
- 推理力に優れているのでえるに見込まれ、しばしば成り行きで探偵役を務めることになる。偶然の殺人事件に出くわしたことがない珍しい高校生探偵。
- アニメ版では、目の色が緑色になっていたが、小柄なベルギー人とは関係ない。
- 現場での推理や聞き込みを他人任せにして、自分は安楽椅子に座っているだけの省エネな探偵は決して少なくないが、折木は現場や関係者に向かって直接取材をしにいく。よく見たら淡白なQEDの探偵よりも行動している。つまり、省エネ主義とは「何もしない」の同義語ではなく、信条など知る由もないヒロインなどの女性集団に引きずられて事件に巻き込まれていくことだ。
- 千反田 える(ちたんだ える)
- 多分ヒロインのはずである。古典部シリーズの決め言葉である「わたし、気になります」が口癖の古典部部長。
- アニメ化された驚きで、目の色が変わった。
- 旺盛な好奇心と優れた五感や記憶力から2年後に出版された作品のヒロインと比べられる。
- 豪農の名士の娘。でもそれを感じさせない。
- 奉太郎が省エネ主義で何もしないのを好む信条ということを実写映画の撮影中に初めて知り、「奉太郎さんって便利屋で探偵の割によく行動すると思っていたのに、そんな信条の人だったのですか。その言行不一致ぶりが私、異様に気になります」と述べた。
- 福部 里志(ふくべ さとし)
- 奉太郎の親友で古典部と手芸部を兼部している総務委員(2年生で総務副委員長)。
- 広範な知識を覚えて「データベース」と自称しシャーロッキアンへの憧れを公言するが、自分ではろくな推理を展開できないよくある自称・ミステリー通。
- 伊原 摩耶花(いばら まやか)
- 奉太郎や里志と同じ中学出身で図書委員会を兼業する女子生徒。
- 里志に想いを寄せており、2年以上アタックを繰り返したり、里志の後を追って古典部に入部したストーカー。
- 里志を「ふくちゃん」、千反田を「ちーちゃん」、大日向を「ひなちゃん」と呼び、奉太郎だけを「折木」と呼び捨てにするが、別にツンデレではない。二次創作ではあるかもしれないけど。
- 実は神山高校に進学したきっかけが漫研の機関誌に掲載された作品であり、即売会も
コスプレ仮装もこなす腐女子。だが、憧れて入部した漫研では厭味な先輩とその取り巻きに疎んじられて結局退部。 - 計算能力に長けており、古典部の機関誌を大量に配布するため部数の桁を間違えるという高等なテクニックを披露した。
主要脇役[編集]
- 折木 供恵(おれき ともえ)
- 奉太郎の姉で神山高校古典部OG。
- 現代の戦国時代を生きる場所を旅して回る大学生。
- 全ての黒幕。
- 関谷 純(せきたに じゅん)
- えるの伯父で1967年の古典部部長。
- 格技場を燃やして高校を中退した後、姪に遺言を残して、インドで消息を絶つ。
- 糸魚川 養子(いといがわ ようこ)
- 神山高校の図書室の司書で1968年の古典部部長。
- アニメ化しても、生年月日が変わらなかった人。
- 大出 尚人(おおいで なおと)
- 古典部顧問。1972年に車輌暴走事故で死亡。名前しか出てきておらず、幽霊顧問である。
神山高校生徒[編集]
- 十文字 かほ(じゅうもんじ かほ)
- えるの友人で占い研究会部長の女子生徒。実家は神社の宮司。
- 彼女を主役にしたスピンオフ作品が存在する。
- 自分の名を冠した十文字事件を起こされるも、本人の存在感は空気というカワイソスな人。
- 入須 冬実(いりす ふゆみ)
- 2年F組のリーダーで病院を経営する家の出身の女子生徒。
- その風貌と性格から「女帝」の異名を持つが、生徒会長ではない。
各作品について[編集]
氷菓[編集]
記念すべき第一巻。「氷菓しかアニメ化されていない」と考えている人間もまれにいる。 「古典部の部室は地学講義室か地学準備室か」や「なぜ古典部の文集『氷菓』はこんなに混沌としているのか」「なぜ、オチがこんなに寒い親父の絶叫なのか」などの謎を解く。千反田が「なぜ弓道部では的に命中しても叱られたり、はずれても褒められたりすることがあるのか」という謎を提示して終わる。
愚者のエンドロール[編集]
2年F組の撮影したビデオ映画の謎(「なぜこの程度のレベルで上映しようとしたのか?」)を解く。 ……という話のはずなのだが、酒入りチョコレート事件のほうがより重要な事件として描かれている。
クドリャフカの順番[編集]
文化祭での怪盗事件の謎(奉太郎曰く、「なぜこの犯人はこんなにも暇なのに時間を惰眠に費やさないのか」という謎)を解く。 アニメ化された際、視聴率という名の大人の事情により、最もサービスショットが多かった巻とされる。
事件を自力で説くめの最大の鍵は、「自作自演」
遠まわりする雛(短編集)[編集]
本シリーズ初の短編集である。『連峰は晴れているか』がハブられた理由はお察しください。
- やるべきことなら手短に
- 女郎蜘蛛の会の宣伝担当である奉太郎が千反田を勧誘するためにわざわざ手の込んだ方法を使ってしまい、後悔する。
- 大罪を犯す
- 奉太郎が怠惰の罪を犯し、伊原が憤怒し、やけ食いで大食の罪を犯し、奉太郎が怠惰の罪を犯し、里志がその知識欲のために強欲の罪を犯し、また、奉太郎の能力に嫉妬し、更には警察沙汰になるようなレベルのビニ本を学校に持ってきて色欲の罪を犯し、そして、奉太郎が傲慢の罪と怠惰の罪を犯す。
- 正体見たり
- 「浜名湖の巨大ウナギ『ハッシー』」の謎や、「奉太郎はなぜ湯あたりしたのか」の謎などを解く。
- 心あたりのある者は
- 奉太郎と千反田が部室で二人っきりで難解な言葉を使用しつつ、推理を繰り広げる。ただそれだけである。なのに、日本推理作家協会賞(短編部門)の候補になった。
- ちなみに、奉太郎たちが得た結論とは、「里志が持ってきたビニ本を警察が取り締まろうとしている」であった。
- あきましておめでとう
- 奉太郎と千反田が神社の倉庫に閉じ込められる。あらぬ噂を立てられるのを心配した千反田だったが、なかなか助けが来ないので、どうせなら本当の噂にしてしまおうと決意する。そこで、奉太郎とアーン♥♥をしようとしたところで、ドアが開き、里志が現れる。里志がすべてを察し、「あきましておめでとう」と言ったところで終わる。何が「あきまして」なのかはお察しください。
- 手作りチョコレート事件
- 「なぜ伊原はこんなにも大きなチョコレートを作り、どうやって学校まで持ってきたのか」という謎を解くついでに、「誰がチョコレートを盗んだのか」という謎も解く。
- 遠まわりする雛(短編)
- 「入須の黒幕講座」の練習試合。生徒は千反田。今回のテーマは「犯人をその気にさせ、犯行を犯させ、別の人物にそれを解かせる」である。入須の助けもあり、(また、電話がかかってきた日がエイプリルフールであることにも気が付かないカモであったためか)成功した。
ふたりの距離の概算[編集]
4月になり、奉太郎たちは2年生になる(里志が進級できたかどうかは定かではない)。 古典部に仮入部してきた大日向はちょっとしたことで千反田と喧嘩をし、奉太郎たちにマラソン対決を挑む。奉太郎は何とかして仲直りさせようと、喧嘩の原因を推理する。その途中で、奉太郎と大日向は禁断を犯す。
未単行本化短編[編集]
- 連峰は晴れているか
- 短編集『遠まわりする雛』でハブられた時点で単行本化の可能性はかなり低かったが、アニメのDVD・ブルーレイのオマケになり、もはや単行本化はないといえる。
- 奉太郎と千反田が雷に打たれ、奉太郎に千反田の生霊が憑りつく。千反田の好奇心が無理やり奉太郎の推理力を使い、今までにないほどのスピードで謎を解いていく。
- 鏡には映らない
- この短編のみ、伊原が主人公である。
- 奉太郎は里志とデキていると思っていた伊原だったが、奉太郎に彼女がいるといううわさを聞き、調査を始める。しかし、それはデマで、奉太郎は里志と協力して、エクストリーム・いじめの仕返しの手伝いをしていたことが判明。協力する奉太郎と里志の姿に何かを感じて、伊原がBL漫画を書き始めるところで終わる。
- 長い休日
- 二次創作でよく見られた、「元気な奉太郎」を作者自身が描いた短編。
- 『氷菓』の時点では、奉太郎にはじらす趣味はなかったが、この作品においては、その気が出かかっている。
- ネット上の二次創作者たちに、作者が読んでくれているという
無駄な期待を抱かせた作品である。
アニメオリジナル[編集]
- 持つべきものは
- アニオタ曰く「傑作」、原作読者曰く「愚作」。「もはやミステリではない」という言葉も一部から上がっている。まぁ、誰も気にしない。
用語[編集]
- 桁上がりの四迷家
- 十文字家、百日紅家、千反田家、万人橋家の四家のこと。頭文字の桁が一つずつ上がっていくことと、何と読めばいいのか少し迷うことからこう呼ばれる。
- これに並ぶ読みにくい名前としては、入須家や遠垣内家が挙げられる。
- カンヤ祭
- 「神山高校文化祭」の俗称。
- 開催期間が5日間になったり、2日間になったり、3日間になったりと、かなり不安定な文化祭である。
- 寿司問題
- 寿司を食べる際の、正しいネタの順番の組み立てに関する問題。
- 作者が一巻目のあとがきで提起し、二巻目で解答を先延ばしにし、三巻目の作中で答えを明らかにした。
- 斐多高校
- 神山高校のモデルとなった岐阜県高山市の高校。神山高校は非実在郊外に建つ1000人のマンモス校だが、斐多高校の在校生徒は300人未満と1学年にも満たないとか。
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ミステリかラノベか[編集]
このシリーズは「青春ミステリ」と銘打っているが、よく「ライトノベル」として扱われる。実際、この記事の初版ではライトノベル扱いされていた。
ここでは、ネットなどで見つかった代表的な意見を紹介する。
ミステリ派[編集]
- 作者は推理作家である。ゆえにこれはミステリである。
- 日本推理作家協会賞も取りかけたんだし。
- 日常の謎という分野は今や推理小説で一ジャンルを確立している
- だいたい、アニメ化したのが間違いだったんだ!あれの時だって検閲により削除
- (↑について)
いや、映画化してないだろ。 - 俺たちオタクにとってのお約束描写が原作ではまるでなってない。だから、断じてラノベではない。
ラノベ派[編集]
- 表紙からしてラノベだろ。『愚者』の挿絵もリバースエンドの人だし
- (↑について)
その理屈だと萌えない挿絵のスニーカー氷菓はラノベじゃないってことになるぞ - (↑について)
さらに言えば、「特大帯」という名のカバーが付いているの以外はほぼすべてラノベではないということになるな - だって、深夜アニメ枠という時点でラノベ系ミステリってことで決定だよね~
アニメノベライズ派[編集]
えるたそ~えるたそ~- 愚者のエンドロールやつばさ文庫の挿絵はなんか違う。京アニのキャラデザこそ至高
- 折木きゅん最高。奉える・里摩耶は正義。
- (↑について)頼むからそれだけはやめてくれ。それより奉里がマイベスト。える摩耶もいいよね。FristED最高。
- (↑さらに反論)あのEDのせいで氷菓が萌え百合アニメと勘違いされそうだからやめてくれ
あれ?アニメが先じゃないの?
結論[編集]
関連項目[編集]
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先生、古典部シリーズの原稿まだですか。 もう、先生だったらこんなのあっという間に仕上がりますよ。全国の読者も先生の秀逸な記事を待ち望んでるんですから、先生もこたえなきゃ。 よろしくお願いしますよ。 (Portal:スタブ) |
作品 あ行 : | 犬とハサミは使いよう – エウレカセブン - NHKにようこそ! – ANGELIC LAYER |
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か~さ行 : | 喰霊 – ケロロ軍曹 - 疾風!アイアンリーガー – STEINS;GATE - 新世紀エヴァンゲリオン (碇シンジ育成計画) - 新妹魔王の契約者 - 涼宮ハルヒの憂鬱 (ハルヒちゃん) - ストライクウィッチーズ - そらのおとしもの |
た~な行 : | 大魔法峠 – 多重人格探偵サイコ - ダンタリアンの書架 - デート・ア・ライブ - 東京ESP – 東京レイヴンズ - 成恵の世界 – 日常 |
は~わ行 : | バカとテストと召喚獣 - バトルスピリッツ 少年激覇ダン - 棺姫のチャイカ – ビッグオーダー - 氷菓 - Fate/stay night - 亡念のザムド - 未来日記 - ムシウタ – RATMAN - RDG |
キャラクター : | 綾波レイ - 碇シンジ - ケロロ軍曹 - 惣流・アスカ・ラングレー |
用語 : | ケロン星 – 残酷な天使のテーゼ - 第3新東京市 – 魂のルフラン - ペコポン |
関連 : | KADOKAWA – 月刊ヤングエース - 電撃文庫 |